「三上くん」のリンゴ
先日、今年最後のツーリング行くど〜!と、岩木山神社まで走った。ツーリングの後は、かなりマニアックな場所に位置する「新岡温泉」で最高の湯を満喫した。
実は「新岡温泉」まで足を伸ばしたのは、ツーリング&温泉の他に、もうひとつ目的があった。それは敬愛するリンゴ農家「三上くん」に会うためだ。
私の知るリンゴ農家の中には、「テキカカシードルの森山さん」や「岩木山写真家の田中さん」そして「ジョンガリ番長…失礼、グルメ番長の佐藤徳樹くん」など、すばらしいリンゴを作る方々が津軽・弘前にはたくさんいらっしゃる。
そのすばらしいリンゴ農家のひとりが、新岡在住のリンゴ農家の「三上くん」 彼は高校生の頃からお客様で、もうかれこれ30年以上という長いお付き合い。
若かりし頃からストリートやアウトドアが好きだった彼は、今現在50を過ぎても、そのスタイルは変わらず。髪をシルバーぽく染め(もはや白髪なのかもしれない)、ノースフェイスのアウターにゴアテックスのブーツでビシッと決めて、月に一度くらいディーライトに来てくれる。
「今、仕事中?」 「今、公民館前の倉庫にいるよ」 「じゃあ、あとで行く!」
あとで行くとは言ったはいいが、新岡をチャリで走るのは初めてだった。岩木山環状線から下ってくると新岡の集落が現れた。まずは公民館を探そう。道を歩いている人に訊けばすぐわかるだろう。と、思ったが、肝心の歩いている人がいない。
(ありゃ、どうしよう…)
とそのとき、向こうに郵便配達のオートバイが見えた。
「すいませ~ん」 私はオートバイに駆け寄った。するとオートバイに乗った配達員のおじさんが、私を見るなり言った。
「あー!オメ!!! あー!誰だっけ? あー!思い出せねじゃ!」
(いやいや、私はおじさんのこと知りませんよ…)と思ったけど、妙に人懐こそうな笑顔のおじさん。
「新岡の公民館てどこですか?公民館の前にあるリンゴの倉庫に行きたいんですけど」 「ん?公民館だば、すぐそこだね。誰さ会うんずや?」 「三上さんです」 「あータガノリだべ。ウヂあすこだね!」
と100mほど先にある黒い屋根のウチを指差した。私は配達員のおじさんにお礼を言い、公民館の方へと走った。
少しいびつな交差点のところに公民館はあった。確かにその向かいに古い倉庫があるが、そこに「三上くん」の姿はなかった。メールをすると、すぐに来るという。しばらく待つと、彼はいつもの軽トラでやってきた。ハリウッドランチマーケットのステッカーが貼ってある。
一年中、リンゴ畑で働く彼の顔は、常に日焼けしている。夏はもちろんだが、冬場の剪定でも雪面の反射を浴びるので、けっこう焼けるのだそうだ。だから一年中彼は精悍な風貌をしていて、見た目は少々ゴツい。しかし、とても心優しい好青年なのだ。
二人で立ち話をしていると、ちょうどさっきの配達員のおじさんが通りかかった。手を振ると、向こうを大きく手を振った。
「あの人も自転車乗ってるんだよ。よくタケウチサイクルに行ってるみたいだよ」と「三上くん」が言った。
あ~なるほど。それでオレのことを見たことがある…って言ってたのか。ヒルクライムの大会かどっかで会っているのかもしれない。それにして気持ちの暖かいおじさんだったなあ。なんとなくほっこりとする出来事だった。
倉庫の中に入らせてもらった。この日は気温が8度くらいあり、この時期としては少し暖かかったが、倉庫に入ると外よりも寒い。冷蔵室は別にあるのだが、倉庫の中はすでにひんやりとしていた。
さらに重そうな大きな扉を開ける。
(おおぉ。すごい…)
暗い冷蔵の倉庫には、高い天井に向かってリンゴの箱が高く積まれていた。
日々、収穫作業をする農家の方々にとって、倉庫というのは多くの時間を過ごす「日常の場」である。しかし私は、そこに何故か「荘厳なもの」を感じた。暗く、何も音のない静寂の中で、リンゴの箱だけが両側に対照的に積まれている。
それはまるで教会のようにも見えた。
最近では、農協に卸すだけではなく、生産者自らホームページを作り自社サイトでリンゴを販売する農家も増えたようだ。
「三上くん」も、東京などから注文を受け発送もしているらしいが、ネットでの販売はしていないようだ。
「口コミで広まった注文を受けるだけで、いいリンゴは売れちゃうんで」
いつもの屈託のない笑顔で、そう話していた。口コミで売れちゃうってことは、やはりリンゴそのものが美味しいのだろう。
自宅に帰り、皮をむかずに水洗いしただけのリンゴを4等分して、娘と食べた。
「シャキシャキして美味しい!」 と、娘。
「1日1個のリンゴを食べれば医者いらず」と古くから言われる。みんなで、津軽のリンゴを食べましょう!
詳細はコチラ ↓↓↓
「 美賀美農園 」
青森県弘前市新岡字山本95
連絡先:0172-82-4433 (三上孝徳さん)
コメントを残す