津軽リンゴの未来 【 もりやま園テキカカシードル工場見学 】
朝、目覚めると外は一面真っ白だった。
ん〜、こういう天気予報は当たるものだ。
仕事が休みだったので、ゆっくり寝ようと思っていたが、昨晩早くに寝入ったせいか目が覚めてしまった。日曜日なので、娘はまだ寝ている。
先日の休みにクローゼットなどを片付けていたが、中途半端に終わっていたので、午前中はその続きしていた。
2時間ほどガサゴソしていたら娘が起きてきた。時計を見たらもう昼が近い。昼飯はどうしようか。
合唱の東北大会のときに買ったお土産を見たら、賞味期限があと3日と迫っていたので、少し早い昼飯は具ナシの「喜多方ラーメン」となった。
てっきり止むかなと思った雪は降り続いていた。
そういえば、アニキから新しい建築の内覧会の案内が届いていた。昼飯を終え、娘と二人で出かけることにした。降りしきる雪の中、車を走らせ内覧会に向かう。
地図を見ると、樹木地区に新しくできたショッピングセンターの近く。ナビを頼りに走ると、弘前大学の北溟寮を過ぎたあたりにモダンな建物がチラと見えた。
小さい路地を左折するとリンゴ畑が広がり、その一角に新しいシードルの工場があった。
ちょうどアニキが外に出ていた。お互い手を振り合図をする。
アニキこと、前田卓氏。尊敬する建築家であり、チャリの先輩でもあり、呑みながらいろんな話をさせてもらえる人生の先輩である。
そして、今回アニキが設計したこのシードル工場を稼働させ、津軽のリンゴの新たな一面を切り開くであろう志高きファーマーが森山聡彦氏である。(もりやま園のFBページ)
森山さんは、私にとっても、岩木山ヒルクライムの実行委員なども務められる、これまたチャリの大先輩。
以前より「森山さんの作るリンゴは美味しい!」と、アニキからお話は伺っていたが、こうした工場を建てる意気込みを拝見すると、それも頷ける。
外観は黒を基調としたモダンな造りで、工場というよりは「ファクトリー」といったかんじ。
早速、アニキが中を案内してくれた。
フォークリフトが出入り、作業できるよう、大きな開口と内部の天井高に目を奪われる。シードルを製造するエリアへ向かう途中に、なにやら研究室みたいな部屋を通る。アルコールなどの成分を調べる部屋らしい。
建物の中でも一番大きなスペースに入ると、そこには見たこともない大きな機械があり、シードルを保存する巨大なタンクが3つほど並んでいた。
2階に上がると、一面のリンゴ畑を見渡せる事務所。ここは逆に天井高が低く、少し秘密基地の趣。
渡り廊下に出ると、建物を構造する大きな柱や梁が剥き出しで広い空間を演出している。
森山さんは不在だったので、アニキからいろいろな話を伺った。
美味しいリンゴを作ろうとすると、いろんなコストがかかる。例えば、実が小さいうちに摘果する実すぐり、枝の剪定、袋かけ、などなど。
そしてその手間、時間、など多くのコストがリンゴの値段に転嫁されてしまうのだという。また、摘果した小さなリンゴや剪定した枝は、廃棄されてしまう。
森山さんは、ずーっと長い間、この無駄にされてしまう、手間や時間、小さなリンゴや枝を有効に使えないか熟慮されていたらしい。その答えのひとつが今回の工場だという。
単にシードルを作るだけでなく、無駄になりそうな材料を使って何か新しい商品を開発できないか?
それを実現させるために、この「ファクトリー」で日々、開発、実践されるとのこと。
すでに、いろいろと動きはあるらしい。
こうした新たな動きは、単に「生産して終わり」という農業を変革していく可能性もあるし、資源の再活用という観点からも注目されると思う。
そしてこのインターネットの時代、地元だけでなく大都市部や海外をも視野に入れたとき、こういった「ファクトリー」の存在もまたビジュアル的に必要だと思う。
森山さんご自身の才能もあるのだろうが、彼の人柄が多くの才能ある方々を引きつけたことは、想像に難くない。
私たち、津軽に生まれ、津軽に暮らし、そして津軽で商売をする人々にとっても、「リンゴ産業の活性化」はこれからも永遠の課題であろう。
農業のことに関しては、全く無知の自分ではあるけれど、やはり地元の農業が盛り上がってくれれば嬉しいし、そしてこの先もやっぱり美味しいリンゴを食べたい!
というわけで、森山さんの作った美味しいリンゴ「こうとく」を頂いてきました。
アニキ、森山さん、ありがとうございました。
昨日は寒い中ありがとうございました。森山さんがいらっしゃればもっと的確にりんご栽培や彼の取り組みについてご説明伝えれたと思います。僕の拙い説明では到底彼のやろうとしていることは半分も伝わっていないと思います。機会があれば是非ご本人からお話をお聞きください。