津軽の冬
朝6時。弘前の駅に向かって歩く。路肩には、18cmの雪が積もっている。
ほんの数日前までは積雪が0cmだったのに、一晩でこうだ。
これが津軽の冬だ。
東京も寒いらしい。長袖Tシャツもプラスで着込み、ローゲージのニットキャップも被る。出張では滅多に着ることのないダウンジャケットで完全装備。
駅までの距離は歩いて15分ほどだが、18cmとなるとスニーカーは厳しい。久しぶりにアディダスのゴアテックスブーツで雪道を歩いた。
駅に着くと、ちょうど「そば処 こぎん」が暖簾を出していた。電車の発車まで15分ほどある。私は迷うことなく食券の自販機にお金を投入した。
駅の「そば」はなんとなく量が少ないイメージがあるけれど、ここの「そば」はなかなか食べ応えがある。いつもは天ぷらかニシンをのせていたけど、山菜を選んだ。
プツプツと切れるあの津軽そばに、山菜が合う。ゼンマイ、フキ、タケノコ、キノコ、などなどがたっぷりと入っている。これ、オススメ!
温まった身体は再び眠りを欲し始めた。
しかし奥羽本線で寝入ってしまうと、新幹線に乗り遅れてしまう。新青森駅まではなんとか睡眠欲求に耐えたけど、新幹線に乗ってからは、上野に着くまでひたすら寝た。
東京にしては、確かに寒い。しかし、快晴である。重装備で東京の街を歩くのは、いささかオーバースペックだった。
電車や建物の中に入ると暖房がしっかりと効いている。この寒い2月だというのに、私はときおり汗を拭っていた。
街を歩く人の多くはマスクをしていた。例のコロナウィルスの影響か。どこに行ってもマスクは売っていない状況のようだが、これだけマスクをしている人がいるということは、それだけ誰もがそれなりにマスクを購入しているのだろう。
それにしても、人の足元を見るようなマスクの高額転売には腹がたつ。ニュースでは、転売した人が「ちょっとした小遣い稼ぎができました」とのたまっていた。アホか。
駆け足で3件の展示会を駆け回り、18時には再び東京駅へ。
山形産の美味しいお米を使ったおにぎりを二つ買い、あとはビールとつまみで新幹線に乗り込んだ。
ショルダーバッグの中には、ノートパソコンと文庫本2冊を入れていたが、結局行きも帰りもそれらの助けを借りることはなく、ひたすら寝続けた車中だった。
弘前に帰ると、18cmだった雪は、32cmになっていた。
夜中の11時半から雪かきを始める。
夜中の雪かきは嫌いではない。なにかしら、黙々と無心になって身体を動かすことができる。雪は積もっているが、空には月が出ていた。
1時間ほどの雪かきを終え、風呂に入る。
風呂から上がって、本日二度目の缶ビールをプシュッと開けた。
そう、これが津軽の冬だ。
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