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2020-03-13

「3.11」 と 「新型コロナウィルス」


 

東日本大震災から9年が経過した2020年の3月11日。

その日、東北の各地に大きな虹がかかった。青森市でも市街に架かる低い虹が出現したらしく、知り合いの方が撮った写真をSNSで見た。

実はその日、東京出張があり、私は車で弘前から青森空港に向かっていた。新型コロナウィルスの影響で、本来搭乗するはずだった飛行機が減便により欠航。昼頃の便に乗ることになった。

浪岡あたりに差しかかった時、すぐ目の前の山々が妙に色づいている気がした。時期的に新緑にはまだまだ早く、山は全体に枯れ、茶色がかっているはずだ。

しかし、山の端あたりが赤や黄、緑色に染まっていた。よく見ると山だけでなく、山の少し上辺りの空が七色に光っているのに気づいた。

「彩雲か?」

一瞬、車を停めようと思ったが、カメラを持参していなかった。やはり車で移動する時はカメラを備えておくべきだ。

七色に染まった山々が近づき、次第に自分と一体となっていく。3.11という日に架かった虹の中に、自分が吸い込まれていくのを身体で感じていた。

  

山手線の7列シートに座るうちの6人が、スマホをいじっている。

それが、つい最近までの東京の電車内風景を描写する言葉だったが、今は少々異なる。7列シートに座っている7人がマスクをしているのだ。

 

スマホざるは、肩が凝っている

 

展示会場に着くと、会場内ではすべての営業マンがマスクをしていた。もちろん来場者である我々も同様。入口でアルコール消毒をする。

「生まれてこのかた、これほどまでに日に何回も手を洗ったことないですよ!」と業界の先輩がおっしゃっていた。

どこの展示会に行っても、「現状の厳しさ、先行きの不安、自粛ムード。でもモノを売っている我々は経済が回らないと困る…」その話の繰り返しだ。

 

「自粛、休校、封じ込め」を訴える人たちと、「自粛のしすぎは自分たちの首を苦しめる。もっと経済を回そう」という人たち。ここにきて、いろいろな意見が出てきている。

私も仕事柄、是非経済は回って欲しいと思う。しかし、いろんなところに出歩いて、皆でワイワイやろう!とまでの気持ちにはならない。

自分がどんな環境で暮らしているのか、仕事をしているのか。そして、周りで働いている友人たちの様子はどうだろうか。

当然、一人ひとりの自粛や消費に対する考え方は異なるであろうが、大人一人ひとりが自分や家族にとって大切な自粛や消費を考えるべきだろう。

困っている友人がいれば、少しでも助けてあげよう。自分も助けてもらおう。

 

ちょうど9年前に似たような境遇を体験している我々であるが、あの時はしばらくの自粛の後は、とにかく皆が皆を応援して経済を回そうという機運が高まった。

しかし今回はどうにも身体も気持ちも引き籠りがちである。いろいろ周りの目が気になることもあるだろうが、ここは大人一人ひとりが自分自身の考えで、必要な行動を取るべきと思う。

 

 

出張から帰ってきて、夜中に一人で津波の映像を見た。

震災直後は、不謹慎ながら、まるで映画でも見ているかのような気持ちで刺激の強い映像を繰り返し見ていたことがある。

 

今では、この日だけ、見ることにしている。

もし、またいつかこのような大きな地震が来たときに、自分はどのような行動を取ればいいのだろうか? それを何度も自分の中に刷り込ませるために、この日だけは、津波の映像を見ることにしている。

 

いつか、この新型コロナウィルスの感染は終息するだろう。

しかし、その時が来たとしても、震災の復興はまだまだ遥か先。

 

 

あの津波の映像が、東北の人々の心の中にある限り、復興という作業は永遠に続くのかもしれない。

 

 


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