入学式
4月7日。
少し風は強かったが、春の日差しが降り注いでいた。
華奢な娘が着る制服は、まだサイズが大きい。それが初々しさを感じさせる。すぐ近くに住む祖父母たちがやって来て、嬉しそうに孫娘を囲んでいた。
中学校に着くと、玄関にはすでに多くの新入生や父兄が集まっていて、皆各々に記念写真を撮っていた。
弘前市立第一中学校は、創立73年を迎え、生徒数も市内では最も多い中学校である。とはいえ、十数年前は10クラスほどあったらしいが、少子化の昨今では、5〜6クラスとなっている。
娘は2組。偶然にも、小学校合唱部での重唱メンバーが、娘を含めて3人一緒のクラスになっていた。人見知りタイプの娘は、少しホッとしていたようだ。
体育館で30分ほど待っていると、新一年生が入場してきた。やはり中学生ともなると、大人と見分けがつかぬほどの身長の大きい子がいる。
2組が入場してきた。3月生まれの娘は、一番最後を歩いていた。
このご時世、ほとんどの生徒や父兄がマスクをしている。父兄の椅子の間隔も心なしか広い。
校長先生による式辞、教職員の紹介が行われた。
娘の担任は、南部町から来た新採用の女の先生だった。新入生同様、先生もまた初々しい感じで、娘たちにとっては良かったように思う。
宿題が解けないと泣いていたあの娘が、中学生になった。
コンクールで金賞に輝いた時に泣いていた娘が、中学生になった。
つい最近まで一緒に風呂に入っていた娘が、中学生になった。
これからは、いろんなことを自分自身で考え、自分自身で答えを見つけ出していかなければならない。
その途中で、相変わらず泣くこともあるだろう。
親に言えぬ秘密をたくさん持つこともあるだろう。
だから、あんまりチカラにはなれないかもしれない。
でもその分、こっちもそんな高望みはしないから、君も気持ちを楽にして、新しい中学校生活を楽しんでください。
なにか辛いことがあったら、必ず味方になるから。
太陽が出ていると、眩しくて目を開けられないのは、親譲り。
自分が小さかった頃の写真は、しかめっ面ばかりだった。
今までは、通う学校が目の前にあったけど、これからは歩いて15分はかかる。
未来へ向かって歩く距離も、少しずつ長くなる。
少しずつ長くなる。
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