真夜中の音楽 『 物語 』
最近、夜に音楽を聴くようになった。
少し前までは、得体の知れぬウィルスの情報を見逃すまいと、夜9時、10時と、各局のニュースをかわるがわる見ていた。
しかし連日の感染者速報、緊急事態宣言、外出自粛の要請…と、あまりにも溢れる情報に、心が疲弊してしまう。
だから最近は、テレビを見るのは最小限にして音楽を聴いている。かつて聴いていたCDを引っ張り出してみたり、YouTubeで懐かしの曲を聴いてみたりしている。
ただ、YouTubeというのはなかなか厄介なやつで、中高生の頃に聴いていた曲のオススメが次から次へと現れると、これがまたエンドレスで寝不足になってしまうのだ。
真夜中の1時を過ぎると、さすがに寝なくてはならない。
寝る直前に「締めの曲」として、あるひとつの曲を聴いている。
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『物語』 −Enfance finieより−
私の読んでゐる 長い長い恋の物語 −−
それがききたいのか
夜ふけの屋根へ鳥がきて とまつたやうだ
月の光にぬれながら静かに 休んでゐるやうだ
私の読んでゐる 長い長い罪の物語 −−
それをきいてゐるのか
鳥の身もこんな夜頃は ぢつと頸をすくめて
いつかしら苔のやうに 泣いてゐるやうだ
詩:三好達治 曲:木下牧子
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人間は誰もがその人なりの『物語』を持っている。
恋にときめくこともあれば、恋に打ちひしがれることもある。
思い描いた人生を歩み始めたと思った瞬間、これまで経験のしたことのない災害に遭うこともある。
今の世の現状。
長い人生の『物語』の中で、人生の大きな転換点になるのでは…と、感じている人もいるだろう。
昨年の9月。盛岡市の岩手県民会館で『物語』を歌った。
そのときの演奏を、「締めの曲」として。今夜も聴いている。
* 男声12名による演奏です。是非イヤホンでお聞きになってみてください。
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