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2020-09-28

骨折闘病記 ⑨ 「リハビリ」


 

左腕のマシンガンが外れて、10日以上経った。

ボルトやピンが突き刺さっていた穴もようやく塞がり、貼っていた絆創膏もはがした。しかし、その痕跡はまだコリコリと固く、皮膚がつっぱる感じが残る。

そして、マシンガンが外れたのと同時に「リハビリ」が始まった。

 

 

 

実は、マシンガンが外される前から、左手中指のリハビリが始まっていた。

脱臼した中指だったが、これがひどい脱臼だったらしく(少しだけ骨折もしていた)、関節周りの靭帯などがかなりヤられていたらしい。

そのため、怪我から2ヶ月近く経った今でもまだ腫れていて、他の指に比べると半分くらいしか曲がらない。指を曲げて「グー」を作ろうとすると激痛が走った。

 

9月18日から、中指とともにメインの左腕のリハビリが始まった。

リハビリをしてみて初めて解ったのだが、「骨折のリハビリ」は、骨の治癒のためというよりも、骨の周り…今回であれば「左腕全体の筋や腱」が再び使えるようにするための治療なのである。

それだけ、左腕の筋や腱は、ガチガチに凝り固まっていた。

マシンガンの固定によって、動かしても動かせなかった左腕だったが、いざフリーになってみると、筋や腱がガチガチに固くなっていて、動かしたくても動かない。正確に言えば、動くのだけど、痛すぎて動かせないのだ。

 

腕には、手指を動かすための筋が、表にも裏にも複雑に張り巡らされている。少しでも手首を動かすと、それらに激痛が走る。

どのように動かしても痛すぎるので、「果たして自分の左腕は元のように戻るのだろうか?」という不安がよぎった。

 

リハビリを始めて1週間後の、9月24日。

超音波の出る水槽に左腕を沈め、穴の塞がった傷や、痛みのある筋に水流を当てながら少しずつ指を動かす。

すると、気のせいかほんの少しではあるけれど、痛みが和らぐのを感じた。

作業療法士さんの指導のもと、左手で「グー」を作ってみると、相変わらず中指は半分ほどしか曲がらないけど、左手全体で「グー」のカタチを作ることができた。

「いいかんじになってきましたね!」

その一言で、こちら側のリハビリに対する気持ちも随分と前向きになる。

「病は気から」とはよく言われるが、リハビリに関しては、患者側の「頑張るぞ!」という、シンプルな気持ちが回復への早道のような気がする。

 

9月26日。

右手だけでクルクルと巻いていたトイレットペーパーだったが、自然と両手で巻いていた。

少し痛みが走ったので、「あっ」とすぐ気がついたが、左腕にも自然と過去の記憶が戻ってきているらしい。

もちろん、手首を前後に倒したり、左右に捻ったりすると「ビキ!」っとくるが、その痛みもリハビリの過程と思えば悲観することはない。

 

そもそも「リハビリ」とは、どういう意味なのだろうか。調べてみると、こんなことが書かれてあった。

リハビリテーション【Rehabilitation】とは、ラテン語の【rehabilitare】が語源となっており、【再び(re)人間らしい状態にする(habilitare)】というのが本来の意味である。

つまり、リハビリテーションとは、患者の機能回復訓練のみを指すものでもなく、もっと広い意味を持ち、一人の人間として、元の地域社会において自立した生活を送れるようにすることだ。

 

なるほど。再び人間らしい状態か。

私は、「ニャ〜」と足元にやってきた猫のティティを 以前のように抱いてみた。

ぎこちなさが伝わったのだろうか。

「ギャん!」と叫んで、腕からジャンプした瞬間、「ビキーーー!」っと激痛が走った。

家庭内社会復帰は、まだまだ先らしい。

 

My bed

 

 

* 何年か後、今回のことを振り返るための備忘録として書いています。

( 前回のブログ → 骨折闘病記 ⑧ 「創外固定」外れる 〜相棒との4週間〜 )

 

 

 


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