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2020-12-08

「人の悪口は言わない」 / 『松井秀喜』の言葉


 

ジョンレノンの歌が流れる12月8日。2年前には、こんなことを書いていた。

『眼高手低(がんこうしゅてい)』という言葉がある。一般には「批判することばかり上手で、実際に作ってみると下手なこと」あるいは「目は肥えているけれど、実際の技能は未熟であること」という意味に解されていて、いずれにしても、あまり良い意味には使われていないらしい。

しかし、あるサイトで読んだところ、ノーベル物理学賞を受賞された益川博士は、この言葉を「目標は高く、実践は基礎から着実に」という意味に捉えているそうだ。自分なりに解釈もしてみた。「批判することばかり上手で、実際に作ってみると下手だった。でも下手でもいい。何事も下手くそから始まる。上手くなくてもいいから、まず始めよう」

そう勝手に解釈した。その日から、この言葉は私の「座右の銘」になった。

 

その後、「座右の銘」が実践されているのかどうかは、 いささか?ではあるけれど、(現在の自分にとって、実践した方が良い)と思ったことには、なるべく取り組むようにしている。

だが、年齢的なことを思えば、自転車・写真・声楽アンサンブル以外にフィールドを増やすことは無理があるし、これらを充実させることさえも難しい。

現に、今年の夏はMTBで左手首を骨折してしまった。同時に写真を撮ることもほとんどできなかった。歌は歌えるが、このご時世、歌えるステージの場がほとんどなくなってしまった。

そう考えれば、「座右の銘」を実践する…ということも、自分の意思だけではなかなか思い通りにいかないものである。

 

しかしながら、この『眼高手低』という言葉から、「まずはやってみる」ことの他に、学びたいと思っている「もうひとつの大切なこと」がある。

それは「人の悪口を言わない」ことだ。

 

誰かと討論しているときに、つい他人の批判が出ることはよくあることかもしれない。が、それが悪口めいたものであれば口にしない方がいい。そう思っている。

そういう思いを強くしたのは、いつだったかある記事を読んだからだ。それは「松井秀喜」に関する記事だった。

 

NYヤンキース時代の松井

 

読売ジャイアンツを経て、NYヤンーキースで大活躍した「松井秀喜」は、私自身、尊敬する野球人の一人である。

甲子園では5打席連続敬遠された松井。しかし、ニューヨークでの本拠地デビュー戦では、前の打者が敬遠されるという屈辱…が、それを跳ね返し満塁ホームランを打ったあの映像は、今見ても泣けてしまう。

スポーツ選手、それも自分よりもかなり年下の松井に、なぜ尊敬の念を抱くのか。それは、おそらく彼の人間性が好きなのだと思う。

あるとき、そんな「松井秀喜」のことを書いてある記事を見つけた。作家の伊集院静氏との対談を記事にしたものだった。

 

…………………………………

ある日、伊集院 静と松井秀喜の対談が某出版社の企画で組まれました。

伊集院「君の周囲の人から聞いた話だけど、君は人の悪口を一度も口にしたことがないそうだね」

松井「野球選手になろうと決めてからは、一度もありません」

さか、という気持もあり、確かめたい気持もあり、伊集院は再度同じ質問をします。

伊集院「一度も人前で、悪口を言ったことがないの?」

松井「はい、ありません」

伊集院は、目は真剣だけど気負いのない松井の態度に、少々遅れを感じたようでした。雑誌の編集長もカメラマンも同じように驚いた表情をしていたそうです。

伊集院「どうしてそうしているの?」

伊集院からの質問に対し、松井はこう答えています。

松井「父と約束したからです。中学2年生のとき、家で夕食をとっている中、僕が友だちの悪口を言ったんです。すると、父が夕食を食べるのを中止して僕に言ったんです。『人の悪口を言うような下品なことをするんじゃない。今、ここで二度と人の悪口を言わないと約束しなさい』と…それ以来、僕は人の悪口は言ってません」

この後、伊集院からこんな質問もあります。

伊集院「松井君はそれでも、悪口を言いたいときはないのですか?例えば、君のバッティングフォームについてけなされた時とか…」

松井「言いたい時は…..山ほどあります」

そう言って、松井はニヤリと笑ったそうです。そして、そこにいた全員が笑い出しました。

………………………………… 

 

親からこのように言われたことがある人はいるだろうが、それを大人になっても実践し続けている「松井秀喜」という男は、スゴいと思った。

 

私は誰とも約束をしたわけではないが、なるべくなら人の悪口を言わないように 心がけている。

「思っていることを、ちゃんと吐き出さないと心にも体にも良くないよ〜」と言われることもある。しかし、他人の悪口を耳にするのは気分が良くないし、ましてや自分が言ってしまった日には、後々最悪な気持ちになる。

それなのに、酒が入った勢いでつい口にしてしまうことはしょっちゅうで、その度に不味い酒になってしまうのだった。

 

歳を重ねると、身体だけでなく脳もカチンコチンになり、凝り固まった自分の考えをなかなか変えられない。

自分のこれまで培ってきたことは一つの財産かもしれないが、そのことに固執しすぎないよう、もう少し謙虚に他人の言うことにも耳を傾けたい。

 

松井の背番号でもある『55』年前の12月8日の自分。

 

 

そう思いながら歳を重ねた今年の12月8日は、やはりジョンレノンを聴いている。

 

 


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