【 Vocal Ensemble Competition 】青森県大会
【 Vocal Ensemble Competition 】
と英語表記すれば、なにやらカッコイイけど、一般的には「声楽アンサンブルコンテスト」と言われていて、僕らは「アンコン」と呼んでいる。
それにしてもアンコンの日は、何故かやたらと雪が降る。
昨年もそうだった。今年は降り始めが遅かったせいか、路面に大量の雪があるわけではなく、わりとスムーズに青森市に入ることができた。
「NOVITA」というスタジオで昼過ぎまで練習をした後、青森駅に向かった。昨年同様、駅の隣にある市民ホールが本番のステージだ。
駅前の地下駐車場に車を置いて、腹ごしらえをしよう。
「長尾中華そば」の看板が見えたので、ラーメンでも食べようと思ったが、雪が降りしきる中、行列ができていた。
諦めて駅の立ち食いそば屋に入り、天ぷら蕎麦を食う。
改めて思ったが、駅の蕎麦は青森駅よりは弘前駅の方が圧倒的に美味い。(もちろん個人的味覚によるものです)
7月初旬に妻が旅立ってからは、3ヶ月ほど練習に参加していなかった。
それでも、YouTubeの音源を聴きながら、少しずつ音は取っていた。
9月の末から練習に参加した。11月と12月の練習には「おばけやさい」の美味しい野菜を持って行った。
亡くなった妻が、昨年冬に自宅庭のプレハブで春菊やアスパラ菜などの野菜を販売していた。私は、その野菜をたくさん練習に持って行った。
Apioのメンバーは、野菜をたくさん買ってくれた。
いつものステージに比べ緊張はなかった。しかし、アドレナリンがみなぎってくるような感じでもない。
なにか、淡々と時間が流れているような気がした。はたして今、自分は歌っているのだろうか。
気がつくと演奏は終わっていて、自分はステージの袖にいた。
弘前まであと少しというところで、助手席に置いていたスマホが光った。
車を停め、画面を動かすと、Bassの長谷川さんからメールが届いていた。
「先程、青森県合唱連盟事務局より、3月の全国大会にApioを推薦団体とした旨の連絡がありました。これから全国に向けて、練習頑張っていきましょう!」
(そっか…金賞だったか。全国大会か…)
いつもの自分であれば、車の中で「ヨッシャー!!!」とガッツポーズをしていたはずだ。
でも今日は何か違っていた。ホッとしたような、フッと気が抜けたような、不思議な気持ちだった。
帰宅すると、家には誰もいなかった。
娘は友達の家に遊びに行って、まだ帰ってきていない。
妻に金賞の報告をして、金色の缶ビールをプシュッと開けた。
あと3ヶ月。
ダンボールに美味しい野菜を積んで、また練習に行こう。
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