ツール・ド・ツガル / 追悼ライド『岩木山から鯵ヶ沢へ ①』
昨年9月から『追悼ライド』をしている。
かつて、妻と一緒にロードバイクで走ったコースを一人で走っていた。十和田湖、酸ヶ湯、十三湖など、津軽の地を二人で走った。
楽しいライドもあれば悲惨なライドもあったが、今となればどのライドも思い出深いものばかりである。
まだ走っていないコースがいくつか残っている。
そのひとつが「鯵ヶ沢」だった。
車にロードを積み込んで、弘前の郊外に向け車を走らせた。
自宅から出発しても良かったのだが、弘前公園周辺は多くの車や人で溢れているだろう。
ここ数日、気温が高く、弘前公園の桜は満開になっていた。
案の定、中央高校あたりの道は渋滞していた。
ゆっくりとしか動かない車の中から、私は濠沿いの桜を眺めた。
けっこう風が強く、早くも花が舞っている。こりゃ、来週まで持たないかもしれないな。
今年の公園の花見は、この車の中から眺めるので終わりかもしれない。
食べ歩きもできないらしいし、まあ良しとしよう。
浜の町をスタートし、岩木山麓を一周する『ネックレスロード』に向かって走る。
予想はしていたが風が強い。西海岸に向かうというのに、西からの風とはこれ如何に。
風を受けながら坂をゆっくり上っていると、不思議な姿の桜の木が目に入る。
山麓あたりはまだ咲いていないと思っていたが、やはりこのところの暖かさで、いたるところに薄ピンクの色が見えた。
こうして自然の桜を目にすることができるのであれば、わざわざ公園に花見をしに行かなくてもいいな。感染対策もしなくていいし。
岩木山の見える溜め池に到着。
西からの風が強いことを、湖面が物語っている。
残念ながら岩木山のリフレクションを見ることは不可能だった。
『ネックレスロード』に合流する手前で、再び不思議な桜の姿に出会う。
おそらく100本以上はあるであろう桜の木が、みな天を向いて咲き始めている。
満開のときに見たらスゴいだろうな。
やがて『ネックレスロード』に合流。
ところどころ路の両脇に桜の木が並び、ピンク色のパースを描いている。
「この路、なんとなく長い下り坂のように見えるけど、実は勾配1
ロードバイクに取り付けたGARMINのサイコンを見ながら、得意
『ネックレスロード』のコースの中でも、
車でこの路を走ると、数分おきに岩木山は形を変えていく。
ロードで走れば、その変化をゆっくりと味わうことができる。
美しい田園にそびえる三角錐の岩木山。
大きな円弧を描きながら走っているので、
「鯵ヶ沢町」の標識を過ぎると、見えてきた交差点。
ここでひと休み。自販機のスポーツドリンクで喉を潤す。
交差点のそばに「長平青少年旅行村 入口」の標識があった。バンガローなどが設置され、キャンプをすることができる施設だ。
中学生の頃、学校のキャンプで泊まったことがある。この旅行村を運営していた村長さんが、私の伯父だった。
「お〜、よぐ来たな。こっちさ来なが」と、私を管理棟に入れてくれたりして、なんとなく自慢だった。
もう40年以上も前の話か。
長平の集落から中村集落まで、一気に坂を駆け下りた。
あのときも、この長い坂を二人で一気に駆け下りたことを、はっきりと憶えている。
長い坂を下りきると、子どもの頃、毎日のように眺めていた岩木山の姿があった。
海まではもう少しだ。
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