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2022-04-22

ツール・ド・ツガル / 追悼ライド『岩木山から鯵ヶ沢へ ①』


 

昨年9月から『追悼ライド』をしている。

かつて、妻と一緒にロードバイクで走ったコースを一人で走っていた。十和田湖、酸ヶ湯、十三湖など、津軽の地を二人で走った。

楽しいライドもあれば悲惨なライドもあったが、今となればどのライドも思い出深いものばかりである。

 

まだ走っていないコースがいくつか残っている。

そのひとつが「鯵ヶ沢」だった。

 

車にロードを積み込んで、弘前の郊外に向け車を走らせた。

自宅から出発しても良かったのだが、弘前公園周辺は多くの車や人で溢れているだろう。

ここ数日、気温が高く、弘前公園の桜は満開になっていた。

 

案の定、中央高校あたりの道は渋滞していた。

ゆっくりとしか動かない車の中から、私は濠沿いの桜を眺めた。

けっこう風が強く、早くも花が舞っている。こりゃ、来週まで持たないかもしれないな。

今年の公園の花見は、この車の中から眺めるので終わりかもしれない。

食べ歩きもできないらしいし、まあ良しとしよう。

 

浜の町をスタートし、岩木山麓を一周する『ネックレスロード』に向かって走る。

予想はしていたが風が強い。西海岸に向かうというのに、西からの風とはこれ如何に。

風を受けながら坂をゆっくり上っていると、不思議な姿の桜の木が目に入る。

 

 

 

山麓あたりはまだ咲いていないと思っていたが、やはりこのところの暖かさで、いたるところに薄ピンクの色が見えた。

こうして自然の桜を目にすることができるのであれば、わざわざ公園に花見をしに行かなくてもいいな。感染対策もしなくていいし。

岩木山の見える溜め池に到着。

 

 

西からの風が強いことを、湖面が物語っている。

残念ながら岩木山のリフレクションを見ることは不可能だった。

 

『ネックレスロード』に合流する手前で、再び不思議な桜の姿に出会う。

 

 

 

おそらく100本以上はあるであろう桜の木が、みな天を向いて咲き始めている。

満開のときに見たらスゴいだろうな。

 

やがて『ネックレスロード』に合流。

ところどころ路の両脇に桜の木が並び、ピンク色のパースを描いている。

 

「この路、なんとなく長い下り坂のように見えるけど、実は勾配1%の上り坂なんだよ」

ロードバイクに取り付けたGARMINのサイコンを見ながら、得意げに妻に話したことを思い出した。

『ネックレスロード』のコースの中でも、百沢から長平にかけては、大きな起伏はほとんどなく、走りやすい路だった。

 

車でこの路を走ると、数分おきに岩木山は形を変えていく。

ロードで走れば、その変化をゆっくりと味わうことができる。

 

 

美しい田園にそびえる三角錐の岩木山。

大きな円弧を描きながら走っているので、再び向かい風に変わってきた。

「鯵ヶ沢町」の標識を過ぎると、見えてきた交差点。

ここでひと休み。自販機のスポーツドリンクで喉を潤す。

 

交差点のそばに「長平青少年旅行村 入口」の標識があった。バンガローなどが設置され、キャンプをすることができる施設だ。

中学生の頃、学校のキャンプで泊まったことがある。この旅行村を運営していた村長さんが、私の伯父だった。

「お〜、よぐ来たな。こっちさ来なが」と、私を管理棟に入れてくれたりして、なんとなく自慢だった。

もう40年以上も前の話か。

 

長平の集落から中村集落まで、一気に坂を駆け下りた。

あのときも、この長い坂を二人で一気に駆け下りたことを、はっきりと憶えている。

 

 

 

長い坂を下りきると、子どもの頃、毎日のように眺めていた岩木山の姿があった。

海まではもう少しだ。

 

 

 


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