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2022-04-24

ツール・ド・ツガル / 追悼ライド『岩木山から鯵ヶ沢へ ②』


 

長平からの坂を下りきり、中村の集落に入ると、遥か遠くに鯵ヶ沢の街がわずかに見える。

そのわずかな街が見えると、(ああ、帰ってきたな)と、いつも思う。

 

中村川沿いに走る。

踏切を越えると、川の向こうに、かつて自分が住んでいた場所が見える。

家はもうない。ただ、あの「蔵」だけは残っていた。

小さい頃、親父に叱られて閉じ込められた、あの「蔵」だ。

怖かったけど、普段は入ることのできない「蔵」の内部。どこか好きだったな、探検ぽくて。

 

中村川沿いの路を左に曲がり、国道を港に向かって走る。

海側と山側にバイパスができたせいで、この古い国道沿いにあった店の多くは看板を下ろし、ひっそりとしている。

 

そういえば、ショッピングセンターが集まっているあたりに新しくラーメン屋がオープンしたと聞いていた。

この辺りでは珍しい「喜多方ラーメン」の店らしい。ちょっと興味がある。

でも、今回は「追悼ライド」だ。あの日、妻と一緒に行ったいつもの店に向かう。

 

 

 

「あ〜、こんにちは!そろそろ自転車の季節だもんね!」

『たきわ』の女将さんは、相変わらず元気そうだし、お店も相変わらず繁盛してる様子。

「カマ焼きにする?」「あ(笑)、お願いします」

こちらが、何を食べようか考える間を与えることなく、いつもの『カマ焼き定食』をリコメンド。

 

海の見える窓辺の席に座った。

妻と一緒にロードで鯵ヶ沢に来たのは、2013年の夏だった。

その時は、ここの店で名物の『ヒラメの漬け丼』を食べたはずだ。『漬け丼』は今でも一番人気のメニューだ。

しかし、その後ひとりで訪れたときに食べた『カマ焼き定食』の美味さに驚愕して、それ以来いつもそれを頼むようになっていた。

 

「お待ちどうさま〜」

 

 

 

いつもながらに、大きすぎてフレームに収まりきれないので、あえてアップで。

うん、やっぱりウメ〜な。

部位によっては、そこそこ塩っぱいので、ついつい飯をお代わりしたくなるが我慢。

食い過ぎると復路のライドがしんどいのだ。

 

食べ終わった後、すぐに走るのは身体によくない。

しばらくの間、窓から見える鯵ヶ沢に港を眺めていた。

そういえば、あの日も港で写真を撮ったことを思い出した。

 

「へば、また来ます!」

「今年もよろしくね〜」

女将さんの笑顔に見送られて、私は港の方へ行ってみた。

港に人の姿はなく、長閑な風景だった。海の向こうにグランメール山海荘が見える。

 

2013年7月の鯵ヶ沢港

 

2022年4月の鯵ヶ沢港

 

私は、ほんの数分の間、海をぼんやりと眺めていた。

そして、心の中でも無言のまま、再び走り出した。

 

 

 


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