初めての「正月三が日」
新しい年を迎えた。
2023年の正月、とくに「正月三が日」は、これまで経験のない時間の過ごし方をしている。
いつもの元日は、勤めていた店の駐車場の雪がヤバいことになっていないかチェックしに行き、それからグビっとやった。
いつもの一月二日は、いつもより早く出勤し、新年の挨拶をし、初売りに殺到するお客さんとのバトルに気持ちを高ぶらせた。
いつもの一月三日は、前日に比べると激混みは落ち着き、帰省した懐かしい面々との久しぶりの会話に気持ちが和んだ。
いつもの正月三が日は、そんな感じだった。そんな感じを、大学卒業以来40年近くも続けていた。
2023年の正月三が日は、のんびりと過ごしている。
妻が亡くなってからは、自分がいろいろと年越しの準備をしなければならなかったが、そんなに大したことはしていない。
それに、一緒に暮らしている嫁さん次男坊が、年越し蕎麦や正月の雑煮を作ってくれる。これがまた美味いのだ。
彼は昨年末に足に大怪我を負ってしまったが、若いだけあって回復力も早く、今年も美味い雑煮を作ってくれた。
ただ、雪かきだけはできないので、自分が頑張るしかない。年明けは幸い雪が少なかったが、二日、三日と立て続けに降ってくれた。
昨年の正月は、80cmの豪雪に苦闘していることがブログに書き綴られてあった。どうやら雪かきだけは、毎年同じらしい。
ここ数年腰痛がひどく、年々雪かき作業はしんどくなっていたが、幸いなことに嫁さん長男坊が東京から帰省していたので、雪かきを手伝ってくれた。
ツラい雪かきも、一年に一度であればなかなか楽しくできるらしく(ホント、年に一回なら楽しくできるんだけどね)若者らしいパワフルな雪かきを披露してくれた。
嫁さん長男坊は、東京で理容師をしている。
私とは、彼が高校生だった頃の3年間を一緒に過ごしただけだったが、洋服に興味がある彼との話はいつも盛り上がった。
彼が帰省すると、みんなで髪を切ってもらうのが恒例となっている。
洋服や髪型に興味を持ち始めた娘は、事前に彼にLINEを送っていたらしい。短めのボブスタイルをリクエストしたようだ。
切ってもらった娘を見ると、それはとてもよく似合っていたし、そして少しだけ妻に似ているような気がした。
私も切ってもらった。最近、イギリスのヴィンテージウェアに惹かれることが多くなり、そんなスタイルに合う髪型にしてもらおうと思った。
でもさすがにパンクなモヒカンは似合わないし、かといってガチガチのブリティッシュにするほど気合いが入った仕事もしていない。
というわけで、マッシュルームカットの一歩手前、ビートルズになりきれなかった枯れたオッさんスタイルを目指す。
嫁さん長男坊曰く、「枯れた西島秀俊風(ふう)」らしい。
できあがったスタイルを見て、なるほど枯れたオッさんスタイルになったような気がする。アーティスト崩れな雰囲気も出ていて良い感じ。
ただ、残念ながら西島秀俊とは顔が全く違うので、西島秀俊風(ふう)ではなかった。
「西島秀俊さんの雰囲気に似ていますよ」そんなことを言う理容師がいたら少し詐欺くさいかもしれないが、理容師も美容師も洋服屋も客を喜ばせてナンボである。何%かは、詐欺師の資質がないといけない。
今日の午後、長男坊が東京に戻るということで、昼は4人で外食に出かけた。
「まだ銀水に行ったことがない」と長男坊が言ったので、銀水食堂に行くことにした。
この日が仕事始めだった銀水食堂は、いつものように混んでいた。銀水のかあさんに、長男坊と次男坊を紹介すると、随分と嬉しそうにしていた。
狭い座敷席に、4人でぎゅうぎゅうに座った。
娘はいつものオムライス、私もいつものカツカレーを注文。息子たちはそれぞれ定食を注文した。
テレビに流れていた箱根駅伝を眺めていると、やがてオムライスやカツカレーがやってきた。
ほっとする味。銀水のカツカレーは、年を越してもやっぱり銀水のカツカレーだった。
嫁さん長男坊が言った。
「そういえば、ここの場所だったっけ」
思い出した。今、僕らが座っているこの座敷に、妻と娘が座って冷やし中華を食べていた。
そのときの二人を私はカメラで撮った。そしてその写真が、妻の遺影となっていた。
狭くてぎゅうぎゅうの座敷席に、5人で座って食べているような気がした。
どれ、どれ、なに、なに?
あ!ブログ?! ちょっと目を通しておこう
もうさ、夢中になって読んで遡る事2021の初めの方まで読んじゃいましたよww
もっと遡らなきゃだわw
「三が日」の詐欺師のくだり…にはプーッ吹いた。折に触れ夫に「麻原彰晃だ!おまえは」と詐欺師扱いです。笑うーー
「谷山浩子さん」懐かしい、、猫の森には帰らない♪か、なにか、そんなのあったよね
では、では
お写真の奥さま素敵な方ですね
ご冥福をお祈りします