福島遠征記① / 「声楽アンサンブルコンテスト全国大会」
「長いトンネルを抜けると、そこは雪国であった」
雪国を表現するときに使われる有名な一節であるが、まさか青森から南下して福島へ向かう道中で使うとは思ってもいなかった。
青森から仙台までは曇り空が続いていたが、仙台を過ぎ、トンネルを抜け、白石蔵王に入ると景色は真っ白に一変した。

福島市の街並み
そして、その白い景色は福島まで続いていた。
(参考までに。川端康成の有名な「雪国」の一節は「長いトンネルを抜けると雪国であった」であり、「そこは」の文言は入っていないのが正しい…ということを初めて知った)
福島駅に着くと構内の至るところに【声楽アンサンブルコンテスト全国大会】の幟が立っていた。
前日から福島入りしていたApioのメンバーたちのいる練習会場へタクシーで向かう。
練習の会場は、声が美しく響く綺麗な教会だった。
本番最後の練習。
歌い出しの確認。フィニッシュの確認。そして、ステージでの並びなどを確認する。
午後、1時間半ほどの練習をし、本場の会場である『福島市音楽堂』へ向かった。

藤森くん、大輔くんと
【声楽アンサンブルコンテスト全国大会】への出場は、私自身は二度目である。
前回は4年前、『みちのく銀行男声合唱団』のメンバーとして参加した。『合唱団Apio』のメンバーとして参加するのは初めてだった。
ここ数年、Apioのメンバーとして参加するチャンスが幾度もあった。
しかし、3年前はコロナウイルス感染拡大による大会中止。
2年前は、コロナウイルスによる自身の判断による不参加。
そして昨年は、大会直前の福島沖の大地震による大会中止。
と、ことごとく参加のチャンスを逸していた。今年こそはと、練習にも例年以上に力を入れていただけに、今回のステージには特別の思いがあった。
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本番ステージ。
美しいタイルが張りつめられたホール。
ここ『福島市音楽堂』は、最高の響きを体感することのできるホールだ。
私は後列の中央に立った。ベースが後列に一列に並ぶのは珍しい。
演奏する曲は二曲。
Carlo Gesualdo(ジェズアルド)とSchütz(シュッツ)。ルネサンス後期〜バロック初期のポリフォニー。
大輔くんの美しいテノールソロから始まり、やがて私たち12人の声は、この美しいホールへ放たれていった。
不思議と緊張はなかった。ステージで表現できることの喜びを感じていた。
演奏が終わると、私たちは温かい拍手に包まれていた。
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演奏のあと、いくつかの団体の演奏を聴くことができた。
大学のときの後輩、太田くんが所属する『鶴岡土曜会混声合唱団 ドルチェ』の演奏を聴くこともできた。素晴らしい演奏だった。
【声楽アンサンブルコンテスト全国大会】は、中学、高校、一般の部と三つのカテゴリーで競い、各カテゴリーから金賞5団体が選出される。
そして、最終日に金賞15団体による本選が行われる。
一般の部は、計36団体が参加しており、その中で上位5位に入らないと本選に進めない。
我々Apioのメンバーは、ホールの最上段の席に座り、発表を待つことにした。
成績発表。
各団体の代表がステージに並ぶ。メンバーの藤森くんが代表としてステージ上にいた。
各団体の名前がコールされ、その場で賞が発表される。
Apioは31番目だったが、すでに金賞が4団体コールされていた。金賞は、あと1団体しかない。
「青森県代表 合唱団Apio 銀賞!」

美しいホール
Apioは銀賞だった。
正確には、36団体中の11位。悔しいが、翌日の本選には進むことは叶わなかった。
それでも、このコロナ禍にあった3年間。まともにメンバーが揃って練習することも難しかった中で、よくここまで頑張ったと思う。
全国大会での銀賞なのだ。胸を張ろう。
メンバーの皆さん、ありがとうございました。
そういえば、閉会式で挨拶をされていた菅野正美先生が、「今夜は是非、福島の美味しいお酒を堪能してください」とおっしゃっていた。
娘も高校に合格したことだし、今宵は福島の美味い酒をしこたま飲むことにしよう!
(その結果、自分を飲み干すようで、これまで敬遠していた福島の名酒『飛露喜』を しこたま飲みました)
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