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2023-04-08

「 入学式 」


 

先月の卒業式とはうってかわって、この日は朝から雨が降っていた。

結婚式であれば「雨降って地固まると言いますからね〜」という決まり文句が出るのかもしれないが、入学式ではなんと言うのだろう。

「雨など降るも、をかし」だろうか。学がないので、これくらいしか思い浮かばない。

 

正門の前で、娘と友達の記念写真をパチリ。

観測開始以降、最も早い開花となったこの日、正門の桜の木にもピンク色がちらほらとあった。

 

入学式の会場となっていた体育館は、校舎の4階にあった。

相変わらず知った顔はなく、私は4階までの階段を黙々と上った。

クラス別に椅子が並べられていて、すでに3分の2ほどの椅子は保護者で埋まっていた。

高校の入学式は、そんなに保護者は来ないイメージがあったが、ほとんどの保護者が来ているように見えた。

 

しばらく待った後、新入生が入ってきた。

元々が女子校だったせいか、女子生徒がやや多い。

クラスごとに、担任の先生が全ての生徒の名前を読み上げる。校長先生から入学許可が宣言される。

 

新入生による宣誓、校長先生による式辞が終わると、校歌が披露された。

会場には2、3年生はいない。女子生徒がひとり、壇上に立っていた。

ピアノ伴奏に合わせ、校歌を歌い始めた。初々しく、清々しいソプラノだった。

 

校歌

 

谷川俊太郎 作詞、中田喜直 作曲とは、なんて贅沢な校歌なのだろうか。

校歌は二度ほど変わっているらしく、おそらく現校歌は、共学になったのをきっかけに新たに作られたのかもしれない。

 

難しい言葉は並べられてはおらず、でも、心に染み込んでいくような素晴らしい詞だと思った。

シンプルな旋律ではあるけれど、少しだけリズムに変化があり、心に残る美しい曲だと思った。

 

式を終えると、各クラスに集まり、担任の先生から今後に向けての説明があった。

どうせ保護者も知らない人ばかりだろう…と思っていたが、店で働いていた頃、仲の良いお客さんだった人がいたり、写真仲間の人がいたり、チャリ仲間がいたり。

意外にもいるものだ。それだけ自分が長く生きている証拠なのかもしれない。

 

帰り際、雨にもかかわらず正面玄関の前では、記念写真を撮るための行列がずらりとあった。

娘に「撮る?」と訊くと「別にいい」と言うので、真っすぐ家に帰ることにした。

帰宅すると、少し雨が上がっていたので、家の前で写真を撮った。

 

 

 

小学校、中学校の時の入学式は、母娘のツーショットがあった。

今はそのショットを撮ることはできない。

少しだけはにかんだ彼女の笑顔に、少しだけ妻の面影を見た気がした。

 

いろいろ大変なこともあるだろうけど。

勉強はほどほどでいいので、自分が思うように楽しんでやってくれ。

 

 


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