3.11 と Birthday
3月に入ると、メディアが少しずつ「あの日」のことを取り上げ始める。

ひと頃よりも、テレビを観ることは少なくなったが、かわりにPCやスマホの画面を見ることが増えた。
yahooニュースでも震災のことがトップで報じられている。SNSを覗いてみると、あのときのことを備忘録として書いている友達がたくさんいる。
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昨年の3月11日も、自身のブログで「あの日」のことを書いている。「あの日」の朝はソウルにいた。昼過ぎに弘前に帰り、店の事務所でPCを開いた途端に、大きな揺れが襲ったのだった。
3月の小雪が舞う中、暗く寒い一夜を過ごした。電気が復旧した後も、ガソリンをはじめとする物資の不足が懸念された。
そしてこの先、自分の仕事、自分たちの生活は一体どうなるのだろう…という先の見えぬ不安の中、地震の数日後に娘の誕生日を迎えた。
どのようにして誕生日を祝ってあげたのかは、はっきりと思い出せないが、そのときの写真が一枚だけある。3歳を迎えたばかりの君が、口の周りにケーキをつけていた。
毎年、「あの日」が近づくと、「今年は何をプレゼントしよう?」と、なんとも複雑な思いが交錯する時間を過ごすことになる。

TSUTAYAで君とお茶をしながら、今まさに、私はこれを書いている。
隣で宿題をしている君に「あのときのこと覚えてる?」と訊くと「3歳なら覚えてるわけないじゃん!」と返された。
確かにそうだ。覚えているわけがない。でも、こう伝えた。
「覚えてはいないと思うけど、「あの日」地震や津波でたくさんの人たちが亡くなったんだ。そのことはいつまでも覚えておくんだよ」。
君は「うん」と一言だけ返してくれた。
さあ、11歳の誕生日プレゼントを一緒に探しにいこう。
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