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2019-05-25

最後の運動会 の 最後のレース


5月25日の土曜日は、娘にとって小学校最後の運動会。

娘の写真を撮る機会は、一年を通してだいたい決まっていて、さくら祭りやねぶた祭り、そして合唱部のコンクールや演奏会。そして、この運動会だ。

「雨降って延期になればいいのにな」

低学年の頃は、学校の大きなひとつのイベントとして楽しんでいたように思う。しかし、自分自身がスポーツが苦手だと自覚するようになるに従い、年々この運動会が近づくと憂鬱な表情を見せるようになった。

「土曜日、めちゃめちゃ天気良さそうだや!」「え〜…」

昨年は、6人中5位!と、かろうじて目標の順位に入賞?した。さて、今年はいかに。

昨年までは緑化委員だった私は、今年はなぜか初めて広報委員になった。そして今回の運動会の写真撮影係を命ぜられた。

腕に「広報」の腕章をつけるので、堂々とトラック内に入ることができる。一般の保護者に比べれば、なんとも贅沢なポジションで撮影することができる…のだが、学校の広報誌のための撮影である。

あんまり凝った写真よりも、子供たちが数人、良いバランスで写っている写真が求められる。いろんな子を満遍なく撮らなくてはならない。

アマチュア写真家が自由に好きな写真を撮るのに比べ、クライアントありきでシビアに撮らなければならぬプロのフォトグラファーの気持ちだけがなんとなくわかる。

打ち合わせもあったので、娘と一緒に自宅を早めに出た。日中の温度は30℃にもなるという。今回は体育館で昼食をとってもいいとのことで、まずは体育館にゴザを敷きに行く。

外は体育館の日陰になっているところにシートを敷いたが、どうせ昼前には直射日光が当たる。場所はどこにとっても同じようなものだ。

打ち合わせをしているうちに子供たちがテント内に集合し始めた。撮影隊は5〜6人ほどいるので、それぞれ適当に散らばって撮ることになった。

それにしても天気が良い。良すぎる。雲ひとつ無し。暑くなりそうだ。

子供たちの行進で「令和元年」の、そして娘の「小学校最後」の運動会が始まった。今年は赤組らしい。ガンバレ!

赤組白組による応援合戦、そして全員でのラジオ体操が行われる。最初は遠慮がちに撮っていたが、先輩委員の方が「どんどん中に入って撮っていいよ!」と言ってくれた。

フィールドに入っていろんなアングルからファインダーを覗く。おもしろい写真を撮りたい…という欲求を抑えながら、マジメに仕事をする。

競技の始まりだ。最初は一気に全学年の「徒競走」が行われる。これは仕事に集中しなければ。

1年生の初々しい走り。6年生の大人と変わらぬ走り。小学校の6学年というのは、なんとも不思議な人間の集まりだ。

気温が高いのでグラウンドも乾ききっている。カーブで転ぶ子もたくさんいた。でもみんな必死に、そして楽しそうに走っていた。

大接戦

「徒競走」最後は6年生の100m。娘は女子の最初に走る。今回も昨年同様、くじ引きで出走順が決まったらしい。6人で走るが、「自分と同じくらいの子が二人いる」と言っていた。「じゃ、4位めざすが!」「う〜ん…」

1位から3位に入賞すると、金色のシールをもらえる。それを紅白帽のつばに貼るのだ。足の速い子は、運動会が終わると何枚も貼っている。低学年の頃は入賞したことがあった娘だが、ここ数年はシールをもらった記憶はない。

パーン!号砲が鳴ると、私のいる反対側から子供たちは走り始めた。カーブを大きく曲がってくる。娘の姿が見えた。4番目を走っていた。

「ガンバレー!」カメラを構える私の横を、娘は4番目のまま駆け抜けていった。

ん〜頑張った!でも惜しいなあ。シールまであとひとつだった。でも頑張った。

綱引き
2年生のチャンス走「運動会の天気は?」

「徒競走」のあとは、お昼ご飯までの間に「チャンス走」が行われる。昨年のブログ(→「運動会の約束」)でも書いたが、「チャンス走」は、私たちの時代で言うところの「障害物競走」である。

実は、今回の「チャンス走」は親子で走るのだ。『親子の絆でGO!』という種目だった。娘のパートナーは私だ。小学校最後のレースが親子で走るレースとなると、これは責任重大である。

競技の内容は、スタートから一緒に走り、途中にいる校長先生と子供たちが一斉にじゃんけんをする。そのあと親子で身体にボールを挟んで走るのだが、じゃんけんで勝った子はお腹で挟む。あいこの子はお互いの脇腹で、負けた子は背中合わせで挟んで走るのだ。

そして、先にあるプラフープを二人でくぐり、そのまま二人でフラフープの中に入りながらゴールまで走るというものだ。

他の学年の「チャンス走」を撮っていたが、6年生の番が近づいたので、私はテントの中にカメラを置いてスタートの方に向かった。

2時間近くもカメラを構えて、立ったりしゃがんだりを繰り返していたので、私の太腿はパンパンに張っていた。たまにロードバイクに乗るとはいえ、普段使わない筋肉をいきなり駆使すると、すぐこんな状態になる。

スタート地点に着くと娘の顔があった。「転んだらごめんな…」「え〜」

小学校最後のレースだ。転んでなんかいられない。「よし、とりあえず校長先生とのじゃんけんで負けるなよ。背中合わせのボール運びなったらアウトだや」

競技が始まった。まずは男子からだ。ドキドキしながら様子を見てると、やはり背中合わせになった親子は苦戦している。

私たちの番が近づいてきた。運動会のスタートラインに立つのなんて、どれくらいぶりだろう。何度か親子競技に出たことはあるが、スタートラインに立った記憶はない。

ドキドキドキ。パーン!

娘と一緒に走る。校長先生のところにきた。「ジャンケンポン!」「勝った!」と娘が叫んだ。

カゴの中にあるボールをみんなで奪い合う。娘とお腹に挟んで横走りのような形で走った。フラフープのところに来た。

上からくぐり、二人で並んで走った。思い切り走った。ゴールテープが見えた。ゴールした瞬間、娘が大きい声で叫んだ。

「ヤッたー!3位!」

3位だった。私は、小学校最後のレースが、なんとかいい形になってホッとした。それよりも、ゴールの瞬間、「ヤッたー!」と娘が叫んだことに驚いた。よっぽど嬉しかったのだろうか。

スポーツでいい成績だったことは、ほとんどなかった。「チャンス走」では、昨年、一昨年と連続でビリッケツだったもんな。

午前中のすべての競技が終わり、昼食の時間になった。涼しい体育館で食べることになっていたので、私と娘は一緒に歩きながら体育館に向かった。

笑顔の娘が、頭にかぶっていた紅白帽のつばには、「三位」の金色のシールが光っていた。

最後の運動会。お疲れ様。

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