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2019-03-27

【 声楽アンサンブルコンテスト全国大会2019 】 福島市音楽堂 その1


【ヴォーカルアンサンブル コンペティション】と書くと妙にカッコいいが、日本語に訳すと【声楽アンサンブルコンテスト】 その全国大会に出場してきた。

【声楽アンサンブルコンテスト】 通称【アンコン】は、毎年12月頃に全国で都道府県大会が行われる。そこで第1位に選ばれた団体が、福島市音楽堂で開催される全国大会に進むことができる。

いわゆる「合唱コンクール」とは少々趣が異なり、少人数(最大16名)による「声楽アンサンブル」で、中には3〜4名で出場するグループもある。

以前は、私も毎年この【アンコン】青森県大会に出場していたが、所属している団体が青森市や五所川原市にあったため、娘が生まれてからは暫くの間は足が遠のいていた。2年前、娘が合唱部に入部し、再び歌いたい気持ちがふつふつと湧いてはいたのだが、コンクールのステージに立とうという思いまでには至っていなかった。しかし、昨年のある出来事が、私の気持ちに変化を生じさせた。

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昨年10月初めころのこと。歌仲間の大輔くん(12月のブログ【 津軽三大テノール クリスマスコンサート 】参照)からメッセージがきた。「T野さんが県病に運ばれたらしい」

T野さんは、大学の時の先輩だ。学年が2つ上で、一緒にベースを歌っていた。下の低いドの音も軽く出せる強者で、憧れの先輩だった(ベースは低い音が出るほど羨ましがられる)。しかも、T野さんは長身で、松田優作に似ていて、とてもモテた。

アパートもすぐ近所だったので、よく遊びに行っては音楽を聴き、酒を飲み、朝まで麻雀をして下の階のヤクザに怒鳴られた。学生時代、T野先輩からは、いろんなことを教わった。

一番右の横浜銀蝿〜T野さん。 左側チェックシャツ〜私。 真ん中のA.猪木〜笹先輩。1985年。

そんなT野さんが、県病に運ばれた。

大輔くんに聞くと、手術をしたらしいが経過は良好とのことだった。数日後、お見舞いに行った。病室に行き、一番奥のベッドのカーテンをゆっくりと開けると、上半身に幾つかの管を巻きつけたT野さんがいた。先輩はスマホで合唱を聴いていた。

T野さんは、私の顔を見ると少し驚いた表情を見せたが、すぐ笑い顔になり昔の先輩の顔になった。どうやら「県病に運ばれた」というのは少し大げさな表現で、自分で不調を感じて病院に行ったのだそうだ。

そして、相変わらずの低い声で歌の話をし始めた。楽しそうに歌の話をするT野さんは、学生時代と変わらぬT野先輩のままだった。

「フェロキ、これすげ〜いいから聴いてみて」とスマホのYouTubeに入っている曲を聴かせてくれた。外国の曲だった。宗教曲ではあるが現代のものらしい。カッコいいハーモニーだった。

「12月のアンコンで、これやるんだ」  T野さんは、大学の時から学生指揮者としても活躍していた。卒業後はみちのく銀行に入社し、「みちのく銀行男声合唱団」で歌っていたが、まもなく「みち銀男声」の指揮者となった。

銀行の合唱団といえば、なんとなく歌声サークル的なものを想像しがちだが、「みち銀男声」は全く違う。60年もの歴史があり、かつては「全日本合唱コンクール」の全国大会にも度々出場し、素晴らしい成績を残している。

時代とともに団員は少なくはなったようだが、昨今は【アンコン】のように少人数でも参加できるクオリティの高いコンクールがあり、「みち銀男声」は常に質の高い演奏をしている。

その【アンコン】で演奏する曲を聴かせてくれた。じつは、T野さんの誘いで、私自身も「みち銀男声」で何度か歌わせていただいたことがあった。もちろん私は銀行員ではないが、歌うことが好きであればウェルカムというところが、T野さんらしい合唱団だ。T野さんが言った。

「また一緒に歌うべし」

クリスマスも近い12月半ば。【アンコン】青森県大会の結果を見て驚いた。T野さん指揮する「みち銀男声」が金賞の第1位を獲得したのだ。退院したばかりだというのに、T野パワー恐るべし!私はすぐにT野さんにお祝いのメッセージを送った。すると、メールの返信ではなく電話がきた。

「俺もまたいつ倒れるか、わがんないし。フェロキ、一緒に歌うべし」

T野さん、いや、T野先輩にそう言われ、私には断る言葉が見つからなかった。50歳半ばを過ぎても、先輩の言葉は重い。いやもしかしたら、(一緒にあの曲を歌ってみたい…)という思いを、先輩は見抜いていたのかもしれない。

数日後、大きな封筒で楽譜が届いた。YouTubeで音源は聴いていたが、楽譜を見て困惑した。美しい宗教曲だと思っていたが、各パートの音がぶつかり合う難解な曲だということを初めて知った。

その日から、イヤホンを耳にしながら楽譜とにらめっこの毎日が始まった。

その2へ続く👉【声楽アンサンブルコンテスト2019】福島市音楽堂 その2

その3へ続く👉【声楽アンサンブルコンテスト2019】福島市音楽堂 その3


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